どんな子どもに育ってほしい? 心の安定した子に育てるために、今私ができること。
みなさんは、ご自分のお子さんがどのような大人になってほしいと願っていますか?
その願いの中の一つに、「落ち着いた子ども」「心の安定した子ども」 というのは必ず入っていると思います。では、今目の前にいるお子さんは、そういうお子さんでしょうか? 7 歳までのこどもは、ワクワク今を生きていますから大人から見たら、とても落ち着いているとは見えない子がほとんどです。心が落ち着いている、内面が落ち着いている、というのは、外側から見る姿だけで判断することはできません。
振り子の振れ幅
大人のみなさんの毎日の生活を考えてみて下さい。毎日とても心穏やかに過ごせる人はいるでしょうか?どんなことがあっても、腹が立たない、動揺することなく安定した気持ちでずっと過ごせる人・・・そんな人はいるのでしょうか? 私は・・・? そんなこと絶対できません! 一日の内、必ず腹が立つことはあるし、子どもにイライラしたりすることがあります。ただし、昨日はすっごくイライラした日だったけれど、今日はそれほどでもなく、比較的穏やかに過ごせた、と思う日はあります。 つまり、日によって、時間によっていろいろ気分が変わります。 それは当たり前のこと。自分自身を振り返ったら、安定した心を持った人間であると言えたもんじゃない! と思います。つまり振り子のように、気持ちがあっちに揺れ、こっちに揺れてしまうのです。 振り子は何も触らなければいつも一定に振れて、だんだんその振れ幅が狭くなり、そのうちに真ん中で止まります。 でもその振れも、外側からの衝撃が加わると、途端に振りが一定ではなくなり、不安定になり、その衝撃が大きければ大きいほど、振り子の玉の動きが複雑になり、そのうちにひもが絡んでぐちゃぐちゃになってしまうこともあります。 人間の心の動きもこの振り子と同じような気がします。つまり、ぐちゃぐちゃになって糸が絡まるまでほっておくと、後で、それを元に戻すのにかなりの時間がかかってしまいます。
人の心が揺れるのは当たり前、機嫌が悪くなったり、腹が立つのも当たり前
そう考えると、子どものことで、(時には夫のことで)イライラしても、気持ち的には少し楽になりませんか?イライラや腹立ちから一番早く立ち直る方法は、「怒ってもいい」「イライラしてもいい」と機嫌が悪くなった自分を認めてあげる事。これ、すごく大事だと思います。私は長い間、理想の母と理想の妻と自分を比べていたので、機嫌の悪い自分が許せませんでした。「あーどうして 私はこうなんだ」 とそれでまた落ち込んでしまっていました。でも、いろいろなことを経験し、自分を見つめる作業をしていくうちに、自分の弱さを認めることができるようになってきました。すると、イライラし始めた自分に「あーきたきたー」「今、私怒ってる」と今の自分の気持ちにちゃんと向き合えるようになってきました。 こうなると、振り子の糸が絡まる前になんとか立ち直れます。先ず大人のみなさんが、自分の弱さや不安定さに寄り添えるようになると、お子さんが同じような状況になった時に「そうよね、腹も立つよね」「イライラしてもいいよ、そのうち収まるからね」「今日はなんだか機嫌悪いけど、そのうちまた機嫌が戻るよね」 と、冷静に対処できるようになってきます。まず自分からですね。
心の安定とは、振り子の振れ幅が大きくなり過ぎず、振れてもまた静かに真ん中に戻ってこられること
お子さんが、朝から機嫌が悪い、と思った時、先ずは病気かどうか?を見てあげる事、そういう症状がなく特に何も思いあたらなかったら、そっと見守ってあげるのが一番だと思います。「なぜ、機嫌が悪い?」とその理由探しをあまりしないほうがいいと思います。心配しすぎると、子ども自身を不安にさせて、そのうちに振り子の糸が絡んでしまう状況を生み出してしまいます。「そういうこともあるよね」という気持ち、あったかい気持ちで待ってあげると、子どもの気持ちもそのうちに収まってくることが多いです。 大事にしたいのは、気持ちの揺れがあっても、またそれが静まって中心に戻ってこられること、それを信じる事だと思います。
子どもの心の安定は安心感から生まれます
ようやく、今月号で私がお伝えしたかったことにたどり着きました。心の振り子の揺れが大きくなってきたときに、自分の力でそれをゆっくり元に戻せる力、振り子が揺れずに、真ん中で止まる状態に戻せる力が安定した心を持つ人だと考えます。中心に戻すのが、できるだけ短い時間でできたらいいし、揺れ幅が狭くなっていけば随分と気持ちが楽になってきます。では、安定した心を持つために、お子さんが小さい時に、親として何ができるのか? それは「安心の場をつくる」ことです。
「安心」は繰り返しから生み出されます
同じことを繰り返すことが子どもは大好きです。 特に 3 歳くらいまでは繰り返しの中から多くのことを学び、喜びや楽しさを感じます。でも大人は繰り返すことをあまり好みません。 これは成長の段階の特徴です。7 歳くらいまでの子どもには、新しいことをどんどん取り入れるより、知っていることを繰り返すほうが、子どもたちは楽しいし、そこに安心感を生み出しす。手遊びを例にとると、何回も繰り返すうちに、次に来ることが分かるようになります。次はこれが来る!と思っている時に、やっぱり思っていたことが来たら、それが大きな喜びとなり、「やっぱりきたよね」とそこに安心感を覚えます。もし予想通りのものが来なかったら、「不安」を呼び起こします。 幼い子の場合、予想を裏切らないことがとても大事です。大人は反対にそこに喜びを見出しますけれど・・・ 私は一年を通じて、だいたい 5 つくらいの同じ手遊びを同じ順番でしています。子どもたちの表情を毎日見ていると、それは面白いです。一つが終わって、次が来る前のほんの少しの「間」の子どもたちの表情がなんとも豊かです。次に何が来るか分かってる、「得意顔」。やっぱりそれがきた「嬉しい顔」 期待を裏切らないように頑張ってます。また、毎日が同じ、という意識ではなく、同じ手遊びでも毎日が新しいものとしてすることをいつも心がけています。大人は昨日と同じ、という意識ですが、子どもは同じ手遊びでも、一回として全く同じものはありません「今」を生きている子どもたちにとっては、一回一回が真剣。 大人の私もそれについていかないといけませんね(汗)
その他に、子どもは好きな絵本を何回も見たい、聞きたいというのがあります。これもどうか子どもが満足するまで読んであげて下さい。ページめくるたびに出てくる絵が知っているものであることで、安心します。「知っているものがくる」ことは子どもたちにとっては大きな喜びであり、大きな安心を生み出すもの、この積み重ねが、自分自身を信じる心を育て、振り子の揺れを自分の力で小さくし、さらに静かに真ん中に止まらせることができる、心の安定を生み出します。
これから、お子さんと歌ったり、絵本を読んだりするときに、同じものが来た時、ちょっとお子さんの顔の表情を見て下さい。今まで気が付かなかった、お子さんの表情の変化に気が付くかもしれません。
Lammertzhof
全面ガラスの大きな窓から見えるのはどこまでも広がる畑。気楽にゆったり過ごせる空間です。毎年 9 月の第一日曜日に農場祭りがあります。 野菜の販売から、おいしいケーキやテントでの食事や子どものためのイベントも開催されます。
住所:Lammertzhof, 41564 Kaarst
URL:https://ww.lammertzhof.net/
Stautenhof
レンガ造りのとてもおしゃれな一軒家、朝食、カフェだけでなく、本格的なビストロも併設、お祝いの席でもご利用できます。外では、鶏が自由に走り回って、のどかな田舎の風景が広がります。
住所:Darderhöfe1a 47877 Willich-Anrath
URL:https://www.stautenhof.de/